コラム

納骨堂で働くということ―それぞれ想い―

「納骨堂で働く思い」運営部主事・柳沼さんの場合1

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「東京御廟を選んでよかったと思っていただけるのが、一番ですね」

東京都荒川区町屋の搬送式納骨堂・東京御廟で働く柳沼は、そう語る。年忌法要や納骨などのセレモニーを担当する「法務」、書類作成や事務手続きを行う「管理」、ご来寺されたお客様をご案内する「受付」などの部署を統括する運営部の主事を務める柳沼は約12人のスタッフたちをたばねる立場にある。

東京御廟に足を運ぶ人の心を、何よりも大切にしたい――。

柳沼は、そんな思いを抱きながら日々の業務にあたっている。東京御廟で働きはじめたのは、開廟準備に追われるさなかの平成21年夏。一般企業でいうオープニングスタッフとなった。

東京御廟は。光明寺が運営する納骨堂だ。岐阜県に本院を持つ浄土真宗の無量寿山光明寺は、京都や埼玉、滋賀、千葉などに分院を持つ。光明寺は、以前から布教所、道場としていた町屋のビルで、ご遺骨の一時預かりをしていた。町屋光明寺・大洞龍徳住職は、搬送式の納骨堂の必要性をこう語る。

「道場では、約400柱のご遺骨をお預かりしていました。ご葬儀をしたものの、お墓がないので納骨できないという方が大勢いらっしゃいました。かといって自宅に置いておくと粗末にしているような気がして落ち着かない、と」

そんな現状の背景には、現代社会が抱える問題がある、と住職は指摘する。

地方から都市部へ――。高度経済成長期、大量に人が移動した。

「新たに都市部で暮らしはじめた人とお寺の繋がりが薄くなっているのが現状です。仮に首都圏でお墓を建てるといっても高額でそう簡単ではありません。大切な方をどう供養するか……そんな切実な悩みを抱えている方が大勢いたのです」

新たな町で、職をえて、家庭を築き、子どもを育ててきた人々が、年齢を重ねて直面した問題……それが墓だった。

柳沼は、それまで考えたこともなかった墓や弔う意味について、東京御廟の仕事のなかで直面することになった。

(続く)

文・奥田竜之介

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