コラム

納骨堂で働くということ―それぞれ想い―

「気持ちに寄り添う言葉」管理部門・栗原さんの場合2

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「気持ちに寄り添う言葉」管理部門・栗原さんの場合2

栗原が東京御廟に入寺した当時、利用希望者のために施設内を案内する機会が多かったという。

「当初は、お客さまの様子がどうか、というより自分のことで精一杯という状態でした」

接客などに決まった形はなかったが、開廟したばかりとはいえ、様々な業界で社会経験を積んだスタッフが多かった。栗原も、以前は不動産管理会社で事務の仕事に就いていた。

大切な人を亡くしたばかりの人たちにどのように接していくべきなのか……。

スタッフそれぞれが勉強して、話し合った。たとえば、当初、お参りするために来館する利用者に「いらしゃいませ」と挨拶していた。けれど、違和感を覚える人もいる。

「自分のお墓にお参りにくるのに『いらっしゃいませ』はどうかな……」

そんな疑問をきっかけにどんな挨拶がふさわしいか、みんなで話し合う。「大切な人を亡くした遺族の気持ちに寄り添う」方法を手探りで考えていった。

「そんなふうに『いらっしゃいませ』と『ありがとうございます』は、やめようということになり、『おはようございます』『こんにちは』『お疲れさまでございました』と挨拶するようになりました。できるだけお客さまの気持ちに立って考えるようにしています。自分の身に置きかえたら……ご遺族の気持ちに寄り添うことができるのではないかと感じるのです」

ひとつひとつの挨拶や言葉が、死に直面して戸惑う人たちに安心感を与えるわけではないかもしれない。けれど、と栗原は思う。そんな小さな積み重ねが、お客さまに安心感を持ってもらうためには大切なのではないか、と。

(続く)

文・奥田竜之介

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