コラム

納骨堂で働くということ―それぞれ想い―

「不思議な縁」運営部主事・柳沼さんの場合4

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不思議な縁

東京御廟が開廟し、4年が過ぎた。

「電車に乗っていると納骨堂の広告をよく見かけるようにもなりました。メディアからの取材依頼も増えました。納骨堂は世間に認知されてきたのかなと感じます」

そして開廟の準備期から東京御廟で働いていた柳沼はこう続ける。

「いまは、若いスタッフが働き易い環境を作ることができれば、と考えています。大切な人を亡くして間もない方たちと向き合うのが私たちの仕事です。スタッフの日常業務が滞らないようにサポートしていくことが、ご利用いただく方々の満足に繋がると思っているのです」

最近、柳沼は不思議な縁を感じる出来事があった。

柳沼が父を看取ったのは、13年前。父の告別式を執り行ったのが、光明寺から派遣された僧侶であることが、ふとしたことから分かったのだ。

「当時は、何がなんだか分からなくて、悲しむ余裕もなかったという感じでした。お通夜と告別式に誰がきたのか分からない。母はぐったりしていし……。覚えているのは、多くのお客さんをお迎えして、お見送りしたというくらいです。いまなら、どの法要にどんな意味があるのか、分かるのですが……。当時は、大切な人を見送る、供養するということに無自覚でしたね」

無自覚を自覚できたのは、東京御廟で働きはじめて仏教について学び、日々訪れる大切な人を喪った人たちの思いに接しているからだ。

大切な人の死に直面して、はじめて供養のあり方を、どう弔うべきなのかを……考える人は多いはずだ。とくに若ければ若いほど、死は遠い。寺院と人の繋がりが希薄になった都市部で支えになるのが、東京御廟のような宗派にかかわらずに受け入れる東京御廟なのかもしれない。

そんな現状を肌で感じているからこそ、大切な人を喪い東京御廟に足を運ぶ人の心を大切にしたい――と柳沼は考えている。

(続く)

文・奥田竜之介

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