コラム

納骨堂で働くということ―それぞれ想い―

「お客さまへの感謝」契約担当リーダー・鈴木さんの場合4

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「お客さまへの感謝」契約担当リーダー・鈴木さんの場合4

東京御廟で働きはじめてから鈴木の生活に変化があった。

かつて歯科助手だった鈴木は結婚を機に専業主婦に。そしてふたりの男の子を育ててきた。子育てが一段落して仕事を探していた鈴木の目に留まったのが、東京御廟だった。決め手になったのが、〈年齢不問〉。

「神社仏閣が好きで、京都とか奈良によく行くんです。ご本尊があるなら、毎日見ることができるな。趣味と合っているからいいかも……そんな動機でした」

けれども、悲しみに暮れる遺族を前にして、涙を流してしまうこともある。とくに子どもを若くして亡くした遺族の姿を見ると、感情移入してしまう。そして改めて思うのだ。

なんの変哲もない1日がどんなに大切か――と。

朝、鈴木の子どもが、学校への提出物を出してくる。数日前に受け取っているはずなのに、期限は今日。

「以前なら『なんで前もって出さないの! しかも忙しい朝に』と叱りっぱなしで送り出していました。東京御廟で働きはじめてからは、もしも何かあったら――という気持ちが常にあるんですよ。だから、たとえ怒ったとしても『今度から気をつけてね、いってらっしゃい』と送り出すようになりました。『行ってきます』といったまま帰ってこなかったら、とどうしても考えてしまうんです。怒りっぱなしだったら、どんなに後悔するだろう、なぜ小さなことを許せなかったんだろう、と」

鈴木が東京御廟に勤務して変わったのは、子どもとの接し方だった。

若くして逝ってしまった友だちたち、大好きだった曾祖母、東京御廟で出会う人たち。そして家族……。鈴木は自身の歩みと御廟での仕事は繋がっていると実感している。

「東京御廟に足を運ぶ人たちと日々接しているからこそ、なんの変哲もない毎日を、子どもとの日常を大切に思うことができるんだと感じます。お客さまに心から感謝しているんですよ」

(続く)

文・奥田竜之介

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