コラム

納骨堂で働くということ―それぞれ想い―

「安心感を抱いていただくために」管理部門・栗原さんの場合1

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安心感を抱いていただくために

申込書の確認、申込者リストの入力、問い合わせへの対応……。東京御廟の栗原は、事務的な業務を担当している。

「いまは裏方ですが、東京御廟で働きはじめてからは、ずっと見学や法要などの案内をしてきました。ご家族を亡くしたばかりのご遺族は、どうしたらいいのか分からずに戸惑っている――いえ、考える余裕もない状況なのかもしれません。そんななか、安心感を抱いていただけるようにするのが、私たちの役割。私たちに求められているのは、落ち着いた対応なのかな、と」

とはいえ、仕事をはじめた当初は「一杯一杯だった」と振り返る。

平成21年夏、前に勤務していた会社をやめて転職を考えていた栗原は、東京御廟で働く友人に手伝ってくれないかと声をかけられた。受付に座っていればいいから、と。

「はじめは気軽な腰掛けのつもりでした。当時、大切な人を亡くしたご遺族の気持ちを想像するきっかけすらありませんでしたから。お墓やご法要、ご遺骨についてもそう。死は、遠い未来に直面することというイメージでした。両親も元気だし、リアリティを感じる瞬間はなかったんです」

栗原は、両親とともに東京都内に暮らす。都内のほかの地域に比べると昔ながらの近所の付き合いは残り、隣家の葬儀や通夜を手伝ったりすることもある。でも、それも父母の代まで。栗原の世代になると、地域の繋がりは希薄だ。

死を身近に感じにくい社会といえるだろう。一方、少子高齢化や核家族化の進行、終身雇用制の崩壊とともに孤独死する人が増えて、無縁社会という言葉が生まれる社会だ。現在、納骨堂が注目を集める一因には、そんな時代背景がある。

「祖父母が群馬の出身で先祖代々のお墓があるんです。遠いからなかなか行けませんが、お墓があることで縁がつながっていると感じます。でも、以前は、そんなふうに考えていなかったですね」

(続く)

文・奥田竜之介

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