【丸山先生から】( 二〇二五年五月十一日)
昨年、12月の町屋祥月命日講の後、以下のことがありました。
祥月命日講に来られていたご家族が、本館4Fのロビーで壁に掛けられた軸を観られていました。たまたま通りかかると、そのご家族から、「何と読むのですか?」と聞かれました。
「拈華微笑」(ねんげみしょう)と読みます。
先程の法要でも読みました『阿弥陀経』にも登場される、摩訶迦葉(まかかしょう)というお釈迦さまのお弟子さまがいらっしゃいます。
お釈迦さまは、ある日、多くの弟子たちを集めて説法をする代わりに、一輪の花を摘んで静かに掲げました。弟子たちはそのお心を理解できずに沈黙していましたが、唯一、摩訶迦葉(まかかしょう)だけが微笑んでいました。お釈迦さまは「真の悟りは言葉ではなく、心で伝わるものですよ」と、摩訶迦葉にその教えを託しました。
仏教では、「言葉を使わずとも本質が伝わること」、「言葉を超えた深い理解」、「以心伝心(心から心へ伝える)」心は、とても大切なことだと思います。
みなさまにお寺に足を運んでいただき、仏教の教えにふれ、穏やかな気持ちになっていただきたいという想いが伝わったのではないでしょうか。というようなお話させていただきました。
言葉を超えた理解の大切さや、とくに大切なことは言葉だけでは伝わらないこともあります。また、仏道を歩む私たちも、 摩訶迦葉のように、表面的な意味ではなく、本質を見極めることで、より深い知恵を得ること、また、多くを語らずとも意図が伝えていくことも大切であることを改めて感じました。
お寺には、意味のないものは置かれません。掛け軸や絵をとっても、意味があって掛けられています。 ぜひ、みなさんにも、お寺に来られたときは、いろいろなものに目をとめてください。

亡くなられた前ご住職(大洞龍明師直筆)の「拈華微笑」軸(町屋光明寺4F)