東京御廟 町屋光明寺

コラム

令和四年五月 祥月命日講 《 施行完了のご報告 》

令和四年五月 祥月命日講 《 施行完了のご報告 》

令和4年 5月7日(土)午前10時より、町屋光明寺本堂において令和四年五月の祥月命日講を厳修いたしましたことをご報告申し上げます。

多くのご供養のお申込みを賜りましたこと、あらためて感謝申し上げます。

 
合掌



五月の法話

 本日は大変ご大儀さまでございます。ただ今、五月の祥月命日講をねんごろにお勤め致しました。この祥月命日講も、長らくオンラインで開催させていただいておりましたが、今月は皆さま方にも足をお運びいただき、ご一緒にお勤めすることができましたこと、深く感謝申し上げます。
 せっかくのこういったご仏縁の機会でございますので、本日は、少々、仏教のお話しをさせていただきたいと存じます。
 それぞれのお寺には、ご本尊さまがお祀りされております。皆様方の前にいらっしゃるのが、ご本尊の阿弥陀さまでございます。こちらの阿弥陀さまは立っておられます。立っている像と書いて立像(りゅうぞう)と申しますが、坐っておられる阿弥陀さまもいらっしゃいます。坐っておられる阿弥陀さまの坐像の大仏さまをご存じでしょうか?
 鎌倉の大仏さまですね。鎌倉の大仏さまは、阿弥陀さまの坐っておられるお姿なのです。
このようにお寺にはご本尊さまがいらしゃいますので、ぜひ、お寺に行かれたときは、ご本尊さまがどなたであるのかを知り、お手を合わせいただければと思います。
ご本尊の阿弥陀さまでございますが、阿弥陀さまは、法蔵という菩薩が、すべての衆生、生きとし生けるものを救いたいという願いを建て、長く厳しい修行を経て、阿弥陀仏となられました。そして、極楽浄土をおつくりになられました。阿弥陀さまの極楽浄土は、いろい、仏さまがいらっしゃいますが、その仏さまの数だけお浄土があると言われている中で、この極楽浄土は、その中でも最もすばらしいところとお経に説かれております。故人さま、ご先祖さまは、極楽浄土に往かれ、極楽浄土から、阿弥陀さまとともに皆さま方を見守り、正しく導かれているのでございます。
阿弥陀さまを称え、極楽浄土のことを説いているお経が、さきほどお称えしました『阿弥陀経』というお経で、『仏説阿弥陀経』と申します。この『仏説』という意味は、お釈迦さまが説かれたお経ということでございます。お釈迦さまの教えは、多くのお弟子さんたちに伝えられました。しかし、当時のインドには、文字はすでにあったと言われておりますが、それほど発達しておらず、お釈迦さまの教えを文字にするということははばかられたわけでございます。お釈迦さまがご入滅された後、教えが正しく伝わっていかないのではないかということになり、そこで、千二百五十人のお弟子さんが一同に参集され、「如是我聞」、私はこう聞きましたということを確認し合い、全員で称えられたのございます。『阿弥陀経』は、このとき参集されたお弟子さんたちの名前が順に読まれるのですが。七番目に周利槃陀迦(シュリハンドク)という方がおられます。この周利槃陀迦のお母さんは王舎城の大富豪の娘さんだったのですが。下男と恋に落ち駆け落ちします。しかし、出産のためご主人を残して、実家に戻る途中で、お兄さんと周利槃陀迦を出産されます。この周利槃陀迦とお兄さんは出家するのですが、お兄さんはとても優秀だったのですが、周利槃陀迦は自分の名前すらわからないし、書けない、お経も全く覚えられなかったのですね。そこで釈尊は、周利槃陀迦にホウキを渡します。そして、掃除をするように云うのです。周利槃陀迦は、お釈迦さまに「これでいいですか」と尋ねます。お釈迦さまは「まだまだ」と答えられる。そんな日がずっと続いたのですね。あるとき、周利槃陀迦がお寺(精舎)の庭をきれいにしたところに、子供たちが来て、散らかしてしまうのですね。周利槃陀迦は腹を立てます。でも、そこで、周利槃陀迦は気づいたのです。「ああ、そうか、そういうことだったのか」と、いくらきれいにしても汚れるし、散らかる。だからそれをいつもきれいにしていくことが大切なんだと。
 私たちの心もそうではないでしょうか?
いくら心を清らかにしても、すぐに乱されてしまいます。周利槃陀迦が煩悩の存在に気付いたように、私たちも心を掃除して清らかにしてく必要があるのですね。本日、皆様はお寺にお参りくださいました。そして今、清らかなお心になられておられるのではないでしょうか。
 本日、申し上げたかったのは、ぜひ、お寺に足をお運びください、そして、ご本尊さまにお手を合わせください。ということでございます。
 ところで、周利槃陀迦のお墓から、ひとつの草が生えてきます。それが「茗荷」でございます。この周利槃陀迦のお話から、茗荷を食べると、もの忘れがひどくとなるとか、頭が悪くなるとか、そういったお話が伝わってきているわけでございますが、決してそうではございませんので、茗荷はおいしくいただいていただければと思います。
 また、皆さまは、天才バカボンをご存じでしょうか?
赤塚不二夫先生は、仏教を作品のモチーフにされました。天才バカボンに登場するお掃除をしているおじさん、「レレレのおじさん」のモデルが、本日お話しさせていただいた周利槃陀迦といわれています。
 最後に、皆さまは、お釈迦さまの息子さんのことをご存じですか?
お釈迦さまは、お子様が生まれたとき、ラーフラと命名されました。修行の障害ということで名前をつけられたのですね。このラーフラの本来の意味は、悪魔という意味です。
今の日本では、悪魔という出生届は受理されませんが。
しかしラーフラは相当精進され修行を積まれ、阿弥陀経では、周利槃陀迦の二人あとに羅睺羅として登場します。
そういったことでもなんでもよろしいので、本日、仏教のことを何かひとつでもお持ち帰りいただければ幸いです。
 五月はじめというのに急に暑くなってまいりました。しかし朝夕は気温差が大きく、本日も雨が予想され、天気もいろいろ変わります。また、新型コロナ宇ウイルスも終息の兆しも目えない中、不安な毎日でございますが、どうぞ、ご自愛いただき、お健やかにお過ごしいただきたく存じます。
 本日はご大儀さまでございました。

 合掌


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